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2011/09/08

「子育てしているだけで、えらいよ!」

 卒業生から連絡があり、焼き肉へ。1人はママになり、1人はまだ独身です。ママになったYさんは、高校時代の面影を残しながらも、すっかりと母親の顔に。「45時間、かかったんだよ」というちょっと誇らしげ(?)の顔を見ながら、私はすっかり「孫を見るじいさん」となっていました(笑)。偶然、高校1年から3年生までYさんの担任だったので、帰ってきてから昔のアルバムを見ると、なぜだかうれしい気持ちになるものだな。旦那さんの話を聞くと、一緒にいた友人も、「旦那さん、ちょーいい人なんですよ!」。
 「優しい」という手垢のついた言葉ではなく、確かにそんな男性は少ないだろうな、というような人です。まじめに仕事をして、彼女と子どもを大切にしてくれているというだけで、それで十分だね。
 もう1人の卒業生Sさんは、長年勤めていた保育士をやめて、次の仕事をすべく、いまは勉強をしている最中です。同級生が結婚をして、母親になっているのを見ると、本人も少し焦りも感じているようです。Yさんの子どもを私が抱っこすると泣くのですが、Sさんはさすがに昔取った杵柄で、上手にあやします。「どうして保育士をやめたの?」と聞くと、いちばんは給与の問題みたいです。確かに、それだけ安いと、仕事としては続けられないよなぁと。。。年収で200万円を切っていてはね。。
 いろいろと話を聞いて、そして本題である「バースデーメッセージ」を書く。彼女たちの仲間の卒業生で私と同じ誕生日の女の子(という年齢でもないか;笑)へのサプライズメッセージだとか。「思いっきり、アツいのにしてください」というリクエスト通りに書き、彼女たちからのだめ出しも受け入れて、なんとか完成。私が総理大臣になったら、スキャンダルになりそうだな、これ(笑)

 人間は社会的な動物であるとはよくいわれますが、教師という仕事は、人間関係を築くという人間らしい仕事です。お互いに顔も知らず、性格も知らず、バックグラウンドも知らない中で、お互いに人間関係を作っていきます。
 それは生徒間でも同じこと。偶然にその学校に入学し、偶然に同じクラスになった人間と、ひとつのコミュニティを完成させます。小学校から高校(時には大学?)によって、担任のサポートはそれぞれ異なるでしょうが、基本的には自分たちの世界を自分たちの手で作っていきます。
 もしここに民間企業のような「利益」というものがあれば、「利益を上げられる人/あげられない人」のような区別が行われ、インセンティブを与えるために、席替えは利益を出せる人から決める!なんていう民間企業のようなことも起こったり(笑)。

 教員は、無条件で受け持った生徒を大切にしたいと思うものです。もちろん、親のような無条件の愛ではなく、家庭と社会とをつなぐトンネルの管理人として、生徒を大切にしたいと考えます。(そして、そこは卒業をして、社会で疲れたときに生徒が戻ってこられる場所でもあります。) 同僚を見すぎたり、えらい方ばっか見すぎたり、世間を見すぎたりするのではなく、自分が考える「社会」で目の前の子どもたちが出るとしたら、どんな力が必要なのか。そして、その力をホームルームや授業の中で育んでいきます。
 その「育み方」は、こちらが予想しているようになんていきません。何せ相手は「生もの」です。彼(女)らが、底つき感を持ったときや、何かで前向きな行動に変わったときとか、いろいろな「撒き餌」をしつつ、タイミングを逃さないように生徒を見ていると、勝負時が見えてきます。機械の生産ではないのだから、計画的にものごとなんて進まないのですよ。

 柳瀬陽介先生・奥住桂先生と共編著を行った『成長する英語教師をめざして新人教師・学生時代に読んでおきたい教師の語り』(ひつじ書房)は、柳瀬先生から原案の原案となる構想が提案されてから、誰に執筆を依頼するか、ということにずいぶんと時間をかけました。もっといえば、「この人の話をぜひとも聞いてみたい」と編者が思えるような人をピックアップしたり、信頼できる方にご紹介をいただいたりして、原稿のお願いをしました。

 執筆をなさった先生方は一人ひとり、教師としての土台が違います。小学校から大学までという校種も異なるだけでなく、学年や学校のカラー、そして経験年数などもバラバラです。集まった原稿を読んでいると、「これ、自分の状況では無理だな」という「決めぜりふ」など忘れて、「すごいなぁ」と思ったり、今の自分が恥ずかしく思えたりと(このごろ、前ほどアツくなれていないので)、原稿を読みながらワクワクできました。

 ガソリンを消費しすぎたり、昔ほどアツくなりきれなかったり、なんとなく疲れてしまっている先生にとってもエネルギーをくれる一冊です。

 そして、「英語教育」を学ぶ大学生には、自分が経験したことない現場の雰囲気を感じるためにも読んでもらいたい一冊だと思います。インタビューをお願いした千葉大生は現在、全員が教壇に立っておられるようですが、3年後にまた話を聞けると楽しいだろうな。「どんな感覚になりましたか?」と尋ねたいな。

2011/09/06

「よい話」と「悪い話」

とあるところで、友人から聞いた話。どこの話かは、忘れちゃいました。

ある2月の下旬のこと。英語の先生が他の英語の先生に、「何かいい話はありませんか?」と話していました。脇で聞いていた友人は、「買ってもいない宝くじが当たる」と訳の分からないことを想像していたところ、その「いい話」とは「生徒からの有名大学の合格連絡」だとのことでした。

あら、そうすると、もしその先生方が私の担任だったら、私のように一浪したあげく、地方の国立大学進学組は、「悪い話」といわれるみたいです(笑)。

誤解のないように書くと、私は勉強しなくていいとは全く思っていません。内田樹氏のことばを引用するなら、「集団を支える成熟したメンバーを再生産する」=「大人を作り出す」ために、自分の世界を広げるために学ぶということは、大切なことだと思うからです。

話を元に戻します。
「いい話」という裏側には、有名高校に進み、有名大学に進み、そして大企業に入社して、安定した生活を送るというモデルがあるような気がします。
また、「有名大学への生徒の合格」=「教師の指導力」(≓その先生評価?)という「理解」もあるのかもしれません。

”課長 島耕作”になれるのは100人中3人だけ!」の山口揚平氏によれば、従業員1000人以上の大企業の課長以上になるのは、全体の3%未満だそうです。(ちなみに、就職するのは約15%) 「有名高校に入って、有名大学に通って、大企業に入ってそれなりに出世する」というモデルは、なかなか「狭き門」です。島耕作に出てくる「エリート」の私生活をモデルにしたいと思う人も少ないかもしれません。(妄想はしてみたかもしれないけど)
その上、本人にとってこんなモデルが幸せかどうかはまた別問題。さらにいえば、人よりも早く出世をして、上へ上へという価値観で生きている人の顔は美しいものでしょうかね。原発事故の後の東京電力の取締役さまのご尊顔を拝見していて、そんな疑問を持ちました。

もちろん、大企業でなければできない仕事も多くあります。10億円の仕事を作るということは、小零細企業ではまずできません。(中企業だとできるかも)  街の開発など大手ゼネコンでなければできないこともあります。民間企業であれば利益を優先させるのは当然ですが、「志」があるかどうかで、どのように利益を得るかという方法が決まるものです。会社(本人)の利益を中心にするか、それとも公共の利益も大切にするか、そんな違いが出てきます。
具体的な「志」を持って仕事に就くことなどほとんどありません。仕事の内容が分からないのだから当然です。でも、「志」を持てるような人間性を持っているかどうかは、就職の前に異なってくるのではないでしょうか。

自分の人生を自分で選ぶという「訓練」を多くした人は、「志」を持って何事にも取り組むことができるのでしょうが、周囲からの目を意識した人は、最後まで周囲に動かされる(たとえ本人は気づかなくても。まぁ、気づいていないふりが多いんだけど)。
若者が生きにくさを感じる現代だからこそ、自分たちの人生を自分で選ぶという生き方を身につけさせたいものです。本当の「いい話」というのは、自分たちの生徒・卒業生が、自ら生き方を決定できたということではないでしょうか。

生徒の人間的成長と学力の向上は両輪です。後者の車輪ばかり大きくなったら、まっすぐは進めません。その結果、大学に入れたら、喜ばしい話ではありませんか。人間的な成長があれば、自分たちで学ぶものですよ。
友だちがいて、師がいて、人生の価値観を共有できるパートナーがいるという「いい話」を、大学に進学していない私の卒業生からはよく聞きます。
年齢を重ね、この世を去るときに、「自分の人生はよかった」と思えるかどうかが人間にとってもっとも大切なことです。(おきまりのエリクソンね) そのときに、大学名なんて関係ないのではないですか。自分の人生を自分なりに生きて、それが世の中のためとなりプラスのつながりを持て、友人とつながり、自分の志に共感してくれる後輩(魂的なつながりを持てる後輩)がいることが幸せなことだと私は思うんですが。

その意味では、学校の先生という仕事はよいものです。(このように仙人のような言い方ができるのは私が公立学校に勤めているかだとは重々承知しております、念のため) 
「生徒が大好きだ」「学校の先生という仕事が大好きだ」「学校の先生になりたい!」という先生・学生の率直なお話しを次の本で読むことができます。大学生や20代の先生方にぜひとも読んでいただきたい一冊ができました。


偏差値競争や実績競争に疲れた先生方もどうかご覧下さい。次回は、自分なりのレビューを書いてみます。

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